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総評案7(Piaキャロットへようこそ!!4)

2011年。
3月11日の東日本大震災の影響あってか、
今年は9月下旬まで目立ったクソゲーが登場しないという、KOTY始まって以来の枯渇状態となった。
「もはや今年はクソゲーは現れないのではないのか」
とすらも思われたものの、その淡い期待は粉々に打ち砕かれることとなる。

先陣を切ったのはサイバーフロントより発売された、Xbox360「code_18」である。
人気ADVであるinfinityシリーズの作品として発売されたこのゲームだが、
それまでのシリーズスタッフは殆ど関わっいないという点より、ファンの心には不吉なものがよぎっていた。
蓋を開けてみれば立ち込めていた黒雲が雷鳴と暴風雨を一度に吐き散らかしたような出来で、誤字脱字は当たり前、
天候が回復したはずなのに振り続ける大雨、電車の音がいつまでも鳴り止まない等、デバッグを放棄したようなバグも完備。
さらにはスカイタワーに居るはずの主人公たちのバックに夕暮れの浅草寺が表示されるという理解不能なシーンも存在。
如何にバグに対し寛容なプレイヤーと言えども、これには開いた口が塞がらないこと請け合いである。

また、システム面も褒められたものではない。このゲームは週回数によってヒロインが固定されており、
もしBANENDに分岐したデータを上書きしてしまえば最初からやり直すしかないのである。
手抜きとバグに溢れたストーリーを初めからやり直す羽目になったプレイヤーの苦痛を察するのは、想像に難くないことだろう。
肝心のシナリオ自体についても矛盾や問題だらけであり、
シリーズファンにも「こんな酷いゲームがinfinityシリーズだなんて絶対に認めない」と拒絶された。


次に名乗りを上げたのはアクワイア制作の「グラディエーターバーサス」である。
古代ローマの剣奴をモチーフにした対戦格闘アクション、「剣闘士」シリーズの最新作であるこのゲームは、
今作よりファンタジー要素を取り入れ、攻撃方法に魔法が追加されている。
だがこの魔法、AIの操作する味方キャラクターがやたらプレイヤーに向かって魔法を誤射してくるという問題がある。
誤射によりコンボを中断させられ、さらにはその隙に敵の攻撃まで受けようものなら、いかなるプレイヤーでも怒りを感じずにはいられないことだろう。
その一方で、好評であったドッジ、パリィといったアクションを削除され、爽快感のある戦いが不可能になっている。
しかしながら、このゲームの最大の問題点はその先にあった。それが課金要素である。
装備の強化、スキル、ステータスの再設定、アイテムボックス、キャラスロットの拡張、キャラクターの容姿の追加、ありとあらゆる所で課金を要求してくる。
「課金させるためにわざと不便にしたのではないか」との声も多く、「剣闘士」をもじって「剣投資」という不名誉な称号を与えられることとなった。


さらに同日発売のD3パブリッシャー制作「街ingメーカー4」も負けてはいない。
このゲームは自分の作った街を自由に歩き回る事が出来る、街づくりSLG「街ingメーカー(まっちんぐめーかー)」シリーズの最新作なのだが、
シリーズの特徴であった「一人一人の住民に個性があり、
会話や買物をしたり不満を解消してあげることで街が発展する」といった、AVG要素の大半が削除されている。
さらには設置できる建物の種類も激減、それに代わるような良いシステムもない事から、シリーズファンが揃って激怒する結果となった。

それでは、このゲームは何ができるのか。「建てる」「潰す」「眺める」これだけである。
その「建てる」行為のためには時間経過などで貯まるポイントを消費するのだが、
このポイントが不足しがちであり、ポイントが振り込まれるまでの「待つ」という行為が強要される。
ゲームクリアまでに必要な時間は約6時間、
さらにそのうちの大半が待つだけの時間である、と言えばこのゲームがいかにボリューム不足であるかが理解できるだろう。
「ディスクという実体を伴った人生」と呼ばれたこのゲームは「待ing」と言う名を与えられ、
メーカーに対し「街づくりをゲームにする前に、まともなゲームを作ってください」という言葉が飛ぶに至るほどであった。


そして12月、意外なゲームが飛来した。
12月8日に発売されたバンダイナムコゲームス制作、「ドラゴンボール アルティメットブラスト」である。
お馴染み「ドラゴンボール」のゲームシリーズ最新作である今作は、
低俗なサル野郎にもプレイできるように気遣ってくれたのか大幅にシステムを単純化している。
その最たる例がQTE(クイックタイムイベント)であり、これは主に全キャラ共通の演出を見せられながら2択のジャンケンをするといったものなのだが、
このQTEが何かにつけて発生するため、戦闘のテンポが非常に悪くなっている。
当然だがジャンケンに必勝法など無く、完全に運任せ。これでは戦闘を楽しむどころではない。
一応グラフィックは向上していると言う長所はあるものの、キャラクターが大幅に減少しているためキャラゲーとしての評価もイマイチである。
さらにはキャラの口パクが台詞と合っていない、会話中はキャラがあまり動かないと言った点から
「アニメより劣化したムービーを見ながらボタンを連打するだけのゲーム」と評され、
格闘ゲームとしてもキャラゲーとしても失格の烙印を押されることになった。


以上4つのクソゲーによって盛り上がるスレの活気によってか、眠れる亡霊が目を覚ました。
その正体は1月27日発売、アクワイア制作の「Wizardry 囚われし亡霊の街」である。
シリーズ復活を掲げた「Wizardry Renaissance」というプロジェクトの最新作として登場したこのゲームであるが、
その実体は復活どころかプレイヤーをも黄泉の国へと引きずり込むようなものであった。
このゲームの問題点は「バランス崩壊」の一言に尽きる。
と言うのも、問題と言われているシナリオ3の後半においては
「どれだけレベルを上げ、装備・パーティを吟味して敵に挑んでも、相手に先制されて魔法やら攻撃やらでパーティが1ターンで半壊~壊滅させられる」
という、とんでもないバランスなのである。

一応シナリオクリアのみできればよい、と言うのならば「エンカウント阻止」アイテムを使用するという方法が存在する。
ラスボスは雑魚と比べてとても弱いため、シナリオのクリアのみならばそう異常なバランスでもない。
とは言え、モンスター狩りやアイテム収集が目的のゲームにおいて、
敵もアイテムも無視してシナリオだけをクリアしたところで一体何になると言うのだろうか。
もしも「ポケモン」がレベル100のリザードン1体でのゲームクリアを強要されるゲームであったとすれば、
それを名作と呼ぶ人間は存在しなかったことだろう。


こうして5つのクソゲーが出揃った年末。
一体どれが大賞を受賞するかと浮き立つスレに、滑り込むように現れた一つのクソゲーがあった。
それがPIACCI制作、Xbox360「Piaキャロットへようこそ!!4~夏の恋活~」である。
この物体は2009年に発売された18禁ゲームを約2年の時を経てXbox360に移植したものなのだが、
移植元からしてエロ以外は壊滅的とされていた作品からエロを除外し、
一部キャラのルートを廃止した上にバグを付け足したと言う誰得商品の鑑のような物体である。
ではその内容はと言うと、これがまた劣悪そのもの。
この物体はファミレス恋活ADV+SLGと銘打たれてこそいるものの、その内のSLG部分は完全に蛇足である。

仕事の選択により様々なステータスが上昇する。
ただし、ステータスによって発生するイベントは存在しない。
既存のイベントの内容が変化することも無い。
ヒロインの攻略に特定のステータスが必要と言った要素も一切無い。
唯一エンディングには一定ステータスが要求されるものの、
これは全ステータスの上昇する「デリバリー」を選択し続けることで容易に達成できる。
そのため、SLG部分はゲームでもなんでもないただの作業でしかないのである。
仕事とは大抵の場合単調な作業の繰り返しであるが、そんなことをゲームで再現されても困る。

ではADVとしてはどうかと言うと、
「無」であるSLGが天国に感じるほどの煉獄がそこには存在していた。
ヒロインに萌えるどころか不快感と理不尽への怒りばかりが募るシナリオ、
「できるだけテキストウィンドウから上を見たくない」と言われる立ち絵、
「サバンナ」とまで評された陸上競技場など、叩けば叩くほど埃が出る始末。
さらにエロシーンのカットに当たっての代替シナリオが一切存在せず、
不自然なブツ切りに疑問を感じていると今度はヒロインが唐突に妊娠したりする。
果てにはヒロインとの関係に関わらずステータスのみでバッドエンドに突入するため、
孕ませたヒロインを前にして主人公が
「何も思い出を残す事はできなかった。この店で過ごした一ヶ月間は何だったんだ」
などとほざく場合もある。
そのあまりの酷さは、購入者より四百字詰め原稿用紙170枚にも及ぶ恨み節が投稿されるほどであった。


ようやく大賞を決定するかと思われた頃、年も明けてからKOTYの戸を叩いた恥知らずが存在した。
その名はご存知タカラトミーの「人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ 」である。
前作に毛を生やした程度のご当地ネタを追加したのみでの再発売というとんでもない代物である。
クソに毛を生やしたところで毛の生えたクソでしかないことは言うまでもなく、もはや今更語るべきところも無い。
この総評内でも5行で終わるほどの無であるが、その値段は6090円。購入者はとても笑えたものではない。


以上7作品を発表し終えたところで、2011年の大賞を発表しよう。
それは、「Piaキャロットへようこそ!!4~夏の恋活~」である。

このゲームが大賞を受賞する事となった最大の決め手は、
「苦痛以外の要素が一切存在しないこと」である。
理不尽な理由によって開始するアルバイトに始まり、頭が残念な人としか思えないヒロインと過ごす毎日、
気付けばヒロインが妊娠している、という理解不能なシナリオ。
果てしなく低クオリティな立ち絵と背景。
怠ればバッドエンドへ直行する、単調な作業でしかない仕事。
もちろん処理落ちやフリーズと言ったバグも完備。
もはやゲームと呼ぶことすらも憚られる「物体」である。
嵐のようにクソ要素を叩きつけるゲームは数あれど、
どこを切っても金太郎飴のようにクソを吐き出すのは、数あるクソゲーでも非常に稀有な存在である。
無であればどれだけマシであったかと思わせるような苦痛の数々を孕んだこの物体は、
ゲー無に囲まれた2011年のKOTYを制するに相応しい存在だと言えるだろう。


振り返ってみれば、この2011年は奇しくもシリーズ物ばかりが集まった年であった。
それも一部を除いては名作・良作として知られた作品ばかりである。
クソゲーと言う形でシリーズの評判に泥を塗ったこの七つの大罪は、
クソゲーであることを笑う者たちの潜む中、
本来のファンたちに怒りを、そして悲しみを与えている。
その事実を、そしてこの七つの大罪を、我々は忘れてはならない。
最後に、2011年の大賞である
「Piaキャロットへようこそ!!4~夏の恋活~」について書かれた、
購入者の悲痛なる言葉を持って、この総評を締め括らせて頂く。

「無益なだけならまだ良い。だが、このゲームはそのうえ有害なのだ」

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